□ あなたが亡くなった後、役所への届け出や介護施設等の利用料の支払い、葬儀の手配、法事、遺産整理、お墓参りなどやってくれる人はいますか?
□ 死後事務委任契約が必要なケース ①葬式、法要など死後事務をやってくれそうな身寄りがいない、②遠い親戚に迷惑をかけたくない、③自分の生き方として死後の後始末は自分でしたい
□ 任意後見契約をしているから大丈夫と思っていませんか?任意後見契約を結んでいても、後見人の仕事は本人の死亡により終了します(民法改正により、一定の範囲で死後事務に関する権限が認められることになりましたが、その範囲は限定されています。)
以下のような成年後見制度の改正が平成28年4月、参議院本会議で可決成立しました。
利用者の死亡後も、相続人に引き継ぐまで財産の保存、債務の弁済をしたり、家裁の許可を得て、埋葬の契約をできるようにする。
3年以内に法整備をする。
行政書士は街の身近な法律家
埼玉県行政書士会所属
行政書士渡辺事務所
行政書士・渡邉文雄
1. 死後事務
あなたが亡くなった後、役所への届け出や介護施設等の利用料の支払い、葬儀の手配、法事、遺産整理、お墓参りなどやってくれる人はいますか?
一般に、亡くなったあとお願いしたいことの例として、次のようなものが考えられます。
(1)早急に処理しなければならないもの
■ 親族・知人・関係者への死亡の連絡
■ 葬儀の準備手続き(お通夜、告別式、火葬等の手順や内容の指定)。
それらの費用の支払い。
■ 行政官庁等への諸届け、加入団体への退会届出
■ 公共料金、家賃・地代の支払い
■ 債務の支払い
(2)死後、比較的短期間に処理しなければならないもの
■ 医療費・入院費、介護施設・老人ホーム等の福祉施設利用料の支払い、施設入居時預け金返還金の受領
■ 家の片づけ、不要な家財道具・生活用品の処分とその費用の支払い
■ パソコン・携帯電話のデータ消去
■ ケーブルテレビの解約
(3)処理に比較的時間がかかるもの
■ 賃借住宅の退去手続き
■ 菩提寺の選定、お墓の準備(納骨、埋葬、墓石建立等)、永代供養の依頼とそれらの費用の支払い
■ 相続財産管理人の選任申し立て
※ 緊急を要する事項は、任意後見契約に記載がない場合でも応急措置として受任者が処理できるとされています。
2. 死後事務委任契約とは
(1)死後委任事務契約
「死後事務委任契約」は、自分が亡くなったあとの葬式、法要の施行・費用の支払いなどを、あらかじめ自分のことをよく知っている友人や知人など信頼できる人に依頼しておく契約です。
死後事務委任契約は、ご自分では契約の履行を確認することができないことから、契約書は公正証書にするとともに、遺言で遺言執行者に「死後事務委任契約」の執行を指示しておけば、葬式、法要の施行・費用の支払いなど契約した内容を確実に実行してもらうことが期待できます。
(2)遺言書のほかに、どうして死後委任事務契約が必要なのか
心筋梗塞などである日突然倒れ、そのまま息を引き取り数日後に発見された、といったニュースをご覧になったこともあるかと思います。
こうした場合への備えとして一般的なものは「遺言」です。しかし、遺言書は開封されるまでに間があるため、あなたの遺志どおりにことが進まなかったり混乱したりする恐れがあります。また、遺言は民法等に定められていること以外のことを書いても「法的な拘束力」がありません。さらに、相手が履行してくれる保証がありません。 あなたの遺志どおりに確実に実行してほしい場合は、遺言書と合わせて「死後事務委任契約」を結んでおくことが必要です。
3. 死後事務委任契約をおススメする人
死後事務は、本来、家族が行うものであり、その費用も相続人が負担するものです。しかし、①子ども等相続人がいない、②相続人はいるが、葬式、法要など死後事務をやってくれそうな身寄りがいない、③遠い親戚に迷惑をかけられない、④自分の生き方として死後の後始末は自分で準備しておきたい、こうした理由で、生前準備として死後事務委任契約をされる方が増えていると言われています。
※ 任意後見契約を結んでいても、成年後見人の仕事は本人の死亡により終了します。なお、平成28年の民法改正により、一定の範囲で死後事務に関する権限が認められることになりましたが、その範囲は限定されています。
4. 死後事務委任契約の結び方
STEP 1 死後事務委任契約書を作成するにあたっては、まず、自分が亡くなったあとお願いしたいことを考え、決めます。
□ 報酬についても定めておきます。
STEP 2 つぎに、亡くなったあとお願いしたいことを頼む人を決め、その方の了解をもらってから契約を結びます。
※ 契約を結ぶにあったっては、死後の事務処理について遺族とトラブルにならないよう、相続人がいる場合は契約内容について了解を得ておくことをおすすめします。
※ 「任意後見契約」に死後の事務委任を記載する方法もあります
(死後委任事務の例)
①親族・知人・関係者への連絡事務
②葬儀・納骨・埋葬・永代供養に関する事務
③行政官庁等への諸届出事務
④公共料金、家賃・地代・債務の支払い事務
⑤医療費・入院費、介護施設・老人ホーム等の福祉施設利用料の支払い、施設入居時預け金返還金の受領事務
⑥家の片づけ、不要な家財道具・生活用品の処分とその費用の支払い事務
⑦パソコン・携帯電話のデータ消去事務
STEP 3 亡くなると死後事務委任契約が発効します
※ 死後事務委任契約で各種の費用の支払いを依頼する場合、遺産から支払うときは「遺言書」も必要になります。